第三講~特別講師 岡田明三先生~『経絡治療と蔵象学』

11月17日、米子市公会堂にて岡田明三先生をお招きし研修会を開催しました。


今回で3回目となる会長講演。


何度受けても発見の連続で、経絡治療の奥深さをこれでもかという程、痛感する時間となりました。このブログでは内容を含めて当日のことを綴っていきたいと思います。


  1. 現代医学と東洋医学の<物の見方・考え方>が違うこと
  2. 日本鍼灸の歴史から、経絡治療の成り立ち
  3. 循環する体の仕組みと東洋医学的巡り
  4. 物を考える<想>がないと学問ができない
  5. 自然界の現象が<陰陽>と<五行>
  6. 陰陽という<相対>するものの捉え方
  7. 五行というものの捉え方
  8. 蔵象、体の中での働きを五臓に置き換える
  9. 東洋医学は、体全体を診ていく視点と、全身の経絡の流れを意識する


この内容を見るだけで研修内容の濃度の濃さが分かるかと思います。

とても興味がそそられる内容ですよね。詳細を書き込んでいくのと、私(月森)が感じ得たことも綴っていきます。


  <物の見方・考え方>について

東洋医学と西洋医学では物の考え方に違いがあります。それは、疾患をどうみるか?という話ではなく、そもそもの考え方や捉え方が違っています。


東洋医学では<陰陽と五行に分けて体を捉えていく>という基本思想があります。元々は東洋思想、自然界の中で陰と陽とに分けて考えてみる見方から発しています。それが面白いのがこの東洋医学であり、鍼灸なんです。


陰陽論とは【相対】する関係性を表していますが、西洋医学では【絶対値】を重んじています。


例えば、2m50㎝、100キロの人は、巨人と言われますよね。でも陰と陽とで物事を見ていくと、3メートルの人から言えば、その人は小人になる訳で、対象物が変わればそれは巨人でも小人にもなり得るという話。

別の話だと、鍼灸でいう補瀉の話。

補の鍼を打とうした際には、強い刺激を押し手で圧をかけて、優しく刺激の弱い鍼を打つことができれば、補の鍼になります。


また、番手を変える事でも可能で、西洋医学の視点からでは2番鍼が瀉の鍼、1番鍼が補の鍼と刺激量として決めています。東洋医学的な発想では、3番鍼で補の鍼を打とうとすれば、5番鍼を用いていくと3番鍼と比べて刺激が弱くなり、補の鍼を3番鍼でも打つことができます。考え方次第なんです。


陰と陽とがシーソーのように左右に振っている訳ではなく、


陰と陽が行き来していて、双方どちら側にも偏りを繰り返しながら動いていると理解。

こういう物の考え方が大切であり、岡田先生も仰っていました。

『物を考える<想>がないと、学問ができない』


物事を考えられる頭でないと、柔軟な発想ができない。
疾患や患者を診ていくときにも、学術を学んでいくときにも、人生で迷ったときにも、一歩踏み出すときにも、この考える想があれば進んでいけるキッカケになると感じました。


他にも五行・五臓の働きについて多くの知見をお話頂きました。午後からは実技実演。リアルな臨床の話から、体をどう見ていくのかということを事細かくお伝えくださいました。



これからの鍼灸人生に大きく影響をもたらしてくれる、そんな研修会になりました。すべてをここで語り尽くせればいいですが、とても内容が濃く、そして岡田先生が今まで経験されてきた臨床や学術は視座が高く貴重なお話ばかりでした。


受講生からも質問が多く上がり、時間が延長しての研修となり岡田先生も快くすべて答えてくださり、受講生の悩みを解決する一手をお伝え下さりました。


最後に、鍼灸師に必要なものはという質問をしたところ、“センス”!!と即回答されました。


様々な物事を感じ、その感じた想いを、形として表現できること。


それがセンスであり、鍼灸師に必要な要素として、私自身感じることができました。


山陰部会では、このような機会を作っていきます。ぜひ山陰の鍼灸師の先生方にご参加頂ければ嬉しく思います。


下記の画像は、研修後に自主的に脈診の復習をしていた受講生。とっても嬉しいです!熱意のある先生ばかりで、私たち講師陣もより分かりやすく伝えていく工夫をしていきたいと思います。



部会長 月森


※来月12月22日㈰、米子にて第4講の研修会を行っていきます。
詳細はFacebookページにて掲載いたします。



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